【はじめに】
こんばんは。毎日更新しようと思っていたのですが、いつの間にか3日経っていました。私の1日は72時間あるのかもしれません。さて、最近は真面目にランク戦をやっていたのでハースストーンはレジェンドにしましたし、シャドウバースもAにしました。もう疲れてしばらくカードゲームをしたくないという気持ちが強いので、記事を書いています。
ハースストーンはレジェになるまで迷走していたので色々使いましたが、海賊ウォリアーが一番勝率が良かったです。コツは武器は1ターンに1回しか振れないことを考えることです。このデッキのいいところは勝っても負けてもヨグサロンを出されないので精神アドを失いません。日本選手権の時のリストと全く同じですが一応貼っておくので、グリーンスキンとクラッグを作ってください。
【クロック】
さて今回はクロックについて話そうと思います。クロックとは『1ターンに安定して出せるダメージ量』だと思ってます。『安定して』という部分が大切なので覚えておいてください。前回のテンポに比べると聞き慣れない言葉だと思いますが、ゲーム自体を理解する上で非常に重要です。
とりあえず具体例を。次の画像を見てください。
レクサーとヴァリーラがタイマンをしています。助太刀は禁止です。
レクサーは毎ターンヒーローパワーを使用することで相手に2ダメージを与えることが出来ます。この場合、レクサーのクロックは2です。
ヴァリーラはヒーローパワーにより攻撃力1、耐久度2の武器を装備することが出来ます。しかし、武器は1ターンに1回しか振ることが出来ないので、1ターンに与えられるダメージは1です。この場合、ヴァリーラのクロックは1です。
それでは、この二人のタイマンはどちらが勝つか分かりますか?当然、レクサーですよね。
お互いのライフが30なのでクロックが1のヴァリーラは相手を倒すまでに30ターンかかります。それに対してクロックが2のレクサーは相手を倒すまでに15ターンしかかからないので、レクサーの方が早く相手を倒すことができます。
この『相手の残りライフ÷クロック=残りターン数』という概念と計算は重要なので覚えておきましょう。あと何ターンで相手を倒すことが出来るかという計算はテンポの計算と同様、ゲーム中常にするようにしてください。
【クロックとバースト】
さて、今度は同じ状況でレクサーが手札に<殺しの命令>を持っています。この時レクサーのクロックはいくつになりますか?
答えは2です。先程お話したようにクロックとは『1ターンに安定して出せるダメージ量』を意味します。<殺しの命令>は呪文カードなので、ヒーローパワーと違って使うとなくなってしまいます。そのため使用したターンに3ダメージ与えることは出来ますが、毎ターン安定して3ダメージ与えられるわけではありません。この使用したターンのみ与えられるダメージをバーストと言います。
それではこの状況でレクサーは何ターンでヴァリーラを倒すことが出来るでしょうか。1ターンに2のクロックダメージを与えることができ、手札に3のバーストダメージを持っています。計算式は『(相手の残りライフ-バーストダメージ)÷クロック=残りターン数』です。この場合『(30-3)÷2=13.5』で13.5ターンとなりますが、ターンに小数点はないので切り上げます。13.5ターンとは13ターンでは削り切れないという意味なので14ターンかかりますね。バーストダメージを出せるカードを持っている場合はこのようにして残りターン数を計算します。
【ボードクロック】
さて、今度戦うのはレクサーとウーサーです。
この二人がタイマンで戦った場合どちらが勝つでしょうか。今回も使用できるのはヒーローパワーだけですが、ウーサーはずるいのでヒーローパワーで助太刀を呼んでくることが出来ます。
レクサーは毎ターン2ダメージを与えることが出来るので今度も15ターンで勝利することが出来ます。
それに対してウーサーはヒーローパワーを使用して盤面に1/1のミニオンを出すことが出来ます。ハースストーンでは召喚酔いがあるため、盤面に出されたミニオンはそのターンには動けませんが、次のターンから毎ターン1ダメージ与えることが出来ます。
つまり、2ターン目のクロックは0ですが、3ターン目には1、4ターン目には2、5ターン目には3、6ターン目には4、7ターン目には5、8ターン目には6、9ターン目には7のダメージを与えることが出来ます。
9ターン目の盤面は上の画像のようになります。ウーサーは1ターンに7ダメージを与えることが出来ますが、レクサーは1ターンに2ダメージしか与えることが出来ません。この状況ではウーサーの方が有利ですね。
ではウーサーがヒーローパワーだけで何ターンで勝利することが出来るか計算してみましょう。計算式は『0+1+2+3+4+5+6+7+7+7+……が30を超えた時です』この場合では赤くした7の部分で合計が35になるので30を超えますね。正解のターン数は9ターン目です。
レクサーが相手を倒すまでにかかるターン数が15なのに対して、ウーサーは相手を9ターンで倒すことが出来るので、このタイマンではウーサーが勝利することが分かりますね。
このように基本的にこのゲームではボードにミニオンを出すことが、長期的に見て与えられるダメージが多くデザインされています。そのためゲーム序盤はお互いボードにミニオンを出し、ボードの取り合いを行うことが多いです。
【テンポとクロック】
さて、ここで前回のテンポの話に戻ります。前回はダメージを与えることが出来るのはテンポを取っている方のプレイヤーであること、テンポを取っている方のプレイヤーに攻撃権があるので有利なトレードを出来ることをお話しました。この盤面の場合、酒場のオヤジのクロックは1で私のクロックは0なので、このまま行くと30ターンで私は負けてしまいます。
そこで私が<トンネル・トログ>を出すと、テンポが五分となります。テンポが五分の場合、トレードした結果全てのミニオンが消滅するので両者のクロックは0になります。しかし、この盤面の場合1ターンでトレードすることが出来ず、3ターンかかってしまいます。その場合、トレードされる側は3回相手のフェイスを殴ることが出来ます。この3ダメージを3ターン持続するクロックと表現することも出来ますが、ライフ計算を考える上で安定したダメージといずれ消滅するダメージは分けるべきであるので、このダメージは性質としてはバーストダメージに近いと思っています。とりあえずここではボードダメージと呼び、クロックとは分けようと思います。
なのでお互いのボードにミニオンがいる場合のクロックは『最適にトレードした際に盤面に残るミニオンの攻撃力の合計』と定義することにします。
また、ボードダメージをどちらが受けるのか決めるのは、先程説明した『相手を倒すまでにかかるターン数』です。基本的にはお互いフェイスに行った場合に先に死んでしまう方が、このボードダメージの不利を負ってでもトレードする必要があります。
もっとも、実戦では勝っている側がリスクを減らすためにトレードすることもよくありますが、重要なのは『勝っている側はフェイスかトレードの選択肢があるが、負けている側は基本的にはトレードしか選択肢がない』ということを覚えておきましょう。
それでは前回の3つの画像で今度はクロックを計算してください。
<答え>
1.酒場のオヤジが1のクロックを持っている。トレード後に盤面に1/1が残るため。
2.とれっどすれっどが3のクロックを持っている。トレード後に盤面に3/3が残るため。
3.酒場のオヤジが1のクロックを持っている。トレード後に盤面に1/1が残るため。
テンポで負けている側のクロックは全て0です。テンポで負けていることは安定したダメージを出せないことを意味します。
【クロックの使い方】
では、実戦でクロックをどのようにプレイングに反映させるのでしょうか。前回話したテンポと今回話したクロックは今後話したいと思っている様々な事柄の基礎となっています。今回はそこから一つご紹介しようと思います。
<死に札を見極める>
まずは簡単な例を。もしも、2ターン目にヴァリーラの体力が8だったとします。この場合レクサーのクロックは2なので4ターンで体力を削り切ることが出来ます。また、5ターン目にゲームが終わるため、マナコストが9の<キングクラッシュ>は死に札となっています。
えっ、ヴァリーラの体力が8なんて有り得ない?そうですね、ですが大事なのは考え方です。この考え方は次のような状況で使えます。
海賊ウォリアーの2ターン目です。1ターン目に出した<サーフィンレー・マルグルトン>は闇の力で葬られましたが、幸運にもヒロパがハンターに変わっています。この状況で手札には<ヒロイック・ストライク>が2枚、<烈火の戦斧>が2枚、<南海の看板員>が1枚あります。<ヒロイック・ストライク>は4のバーストダメージを出すことが出来ます。<烈火の戦斧>は3ダメージで2回殴ることが出来るので、1枚につき6ダメージを出すことが出来ます。武器は1ターンに1回しか振れないのでバーストダメージとは言いにくいですが、先程説明したボードダメージに近い性質で、ライフ計算する上では制限のあるバーストダメージとして扱います。そして、<南海の看板員>はミニオンではありますが、体力が1と脆く絶対に次のターンに処理されるので、これも実質バーストダメージです。
このダメージを全て合計すると『4×2+6×2+2=22』で22ダメージとなります。ということはこの22ダメージを与えたあとのライフ8がヴァリーラの実質ヘルスと言えるのです。つまり1枚目の画像は2枚目の画像とほとんど同じということですね。
ここで実際に2枚目の画像でどのようなプレイングをすべきか考えます。まず考えることはライフを削り切るためにはヒーローパワーを4回撃たなければならないということです。つまりこの試合が終わるまでに少なくとも4ターンはかかることが分かります。
では4ターンで終わるのでしょうか。いいえ、終わりません。何故なら武器を消費し終えるまでにも4ターンかかってしまうからです。2ターン目に2マナしかない状態で、ヒーローパワーと武器を同時に使うことは出来ないので、現実的には無理なのです。これでこの試合が終わるまでに5ターン以上かかることが分かりました。
ここでマナの計算をします。手札のカード全てを使い切り、ヒーローパワーを4回以上撃つことが勝利条件です。手札のカードのマナを合計すると『2×4+1=9』で9です。これにヒーローパワー4回を撃つ分のマナ『2×4=8』を足した17が必要なマナです。2ターン目から数えて5ターン後までのマナを合計すると『2+3+4+5+6=20』の20です。必要なマナもちゃんと収まっていますね。
では、これを現実に当てはめて、ちゃんと使い切れるか考えます。答えは次のようになります。
<手順>
2ターン目:武器を装備、殴る 残り体力:27
3ターン目:装備中の武器で殴る、ヒーローパワー、看板員で殴る 残り体力:20
4ターン目:武器を装備、殴る、ヒーローパワー 残り体力:15
5ターン目:装備中の武器で殴る、ヒーローパワー、ヒロイックストライク 残り体力:6
6ターン目:ヒーローパワー、ヒロイックストライク 残り体力:0
ポイントは3ターン目と4ターン目の行動です。手札に<ヒロイック・ストライク>があるのにもかかわらず、ヒーローパワーをしています。これは、『武器を4回振り切り、ヒーローパワーを4回撃つことが勝利条件』だと計算しているからです。もし、ここで3,4ターン目に<ヒロイック・ストライク>を使用してしまったら、どうなるでしょうか。
<間違った手順>
2ターン目:武器を装備、殴る 残り体力:27
3ターン目:装備中の武器で殴る、ヒロイックストライク、看板員で殴る 残り体力:18
4ターン目:武器を装備、殴る、ヒロイックストライク 残り体力:11
5ターン目:装備中の武器で殴る、ヒーローパワー 残り体力:6
6ターン目:ヒーローパワー 残り体力:4
7ターン目:ヒーローパワー 残り体力:2
8ターン目:ヒーローパワー 残り体力:0
このように、ちゃんと計算をせずに<ヒロイック・ストライク>を使ってしまうと、最長で2ターンリーサルターンが延びてしまうことが分かります。今あるハンドで戦った場合何ターンで勝てるかは、しっかりと計算しましょう。
さて計算の結果、海賊ウォリアーは引きが良ければ6ターンで相手のライフを削り切ることが出来ることが分かりました。これが海賊ウォリアーに<炎の王ラグナロス>や<グロマッシュ・ヘルスクリーム>などの優秀な8マナミニオンが入っていない理由です。海賊ウォリアーは引き次第で6~7ターン目には倒せていることも多く、8ターン目には止めのひと押しといった感じなので、<炎の王ラグナロス>や<グロマッシュ・ヘルスクリーム>のような8ターン目以降の盤面を強化し、ライフにプレッシャーを与えるカードはパワーカードではあるのですが、先ほどのキングクラッシュのように死に札となることが多く、デッキのコンセプトに合わないため採用されにくいのです。
【発展】<ヒロイックストライクを序盤に使うことは必ずしも間違いか>
今回は手札状況から3ターン目に<ヒロイック・ストライク>を使用するのは間違いとしました。しかし、残りデッキが全て<ヒロイック・ストライク>なら話は変わります。
<オールヒロイックストライクの場合>
2ターン目:武器を装備、殴る 残り体力:27
3ターン目:装備中の武器で殴る、ヒロイックストライク、看板員で殴る 残り体力:18
4ターン目:武器を装備、殴る、ヒロイックストライク 残り体力:11
5ターン目:装備中の武器で殴る、ヒロイックストライク、ヒロイックストライク 残り体力:0
このように、1ターンリーサルターンを縮めることが出来ます。プレイングを決める際には実際には、そのターンから予定されるリーサルターンまでのドローとその確率も考えなくてはなりません。
仮に残りデッキ20枚中30%にあたる6枚が2マナで4点出すことの出来る<ヒロイック・ストライク>のようなカードだったとしたらどうでしょう。今回は相手がローグのため、100%リーサルをとることが出来る6ターン目にこちらが死んでいるパターンはほとんどないので、さきほど正解としたヒロパルートが正しいと思います。
しかし、もし相手がフェイスハンターでお互いフェイスを殴りあった場合(これをダメージレースといいます)、こちらを先攻として、相手の後攻5ターン目にはこちらのライフが90%以上で0になっていることが予想される状況になったとしたら話は変わります。
2ターン目,3ターン目,4ターン目,5ターン目とドローする機会は4回あり、ドローで必要な<ヒロイック・ストライク>の数は2枚なので、この条件で確率計算すると、約34%で引けることが分かります。
計算の結果、90%以上の確率で6ターン目を迎えることが出来ないと出たのであれば、34%の可能性に賭けて<ヒロイック・ストライク>連打ルートを進まなくてはいけません。これがハースストーンで最も難しい部分です。
難しい場面ではどちらの方が確率が高いのかトッププレイヤーでも分からないことは多々ありますし、普段のプレイングでもどうしてこのプレイをしたかという質問に勘や経験としか答えられない部分もあります。ですが、ハースストーンで強くなるには、この状況で何%で勝利することが出来るかどうかの人間的な勘を数学的な実際の確率に近づける必要があります。
完璧なプレイを目指す道は長いですが、まずは『あと何ターンで倒す、または倒されるのか』と『この状況で自分は何%で勝利することが出来るのか』を考えながらプレイすることが重要だと思います。
【まとめ】
・クロックとは1ターンに安定して出すことの出来るダメージ量であり、主にテンポでの優位とヒーローパワーによって生み出される。
・相手のライフ30点を削る具体的なプランを立てながらプレイするべき。手札やデッキにバーストダメージが多ければ、オールフェイスも選択肢に入るが、普通のミニオン主体のデッキではしっかりとテンポを取り返し、ミニオンによる安定したダメージ=クロックを生み出さなければならない。
【おわりに】
すごく基本的なことを色々書いたつもりです。次くらいから本題に入れればいいなと思います。今回は尺の都合上、攻める際に考えるクロックとリーサルターンの話になってしまいましたが、本来ウォリコンやフリーズメイジという受けるデッキの方がクロック計算をしっかりとする必要があるので、いつか他の記事にまとめたいと思います。
数ヶ月前にハースストーンを始めた者ですが、ブログの記事を参考にさせていただいています。前回の「テンポとは」も、とれっどさんの説明が大変わかりやすかったです。英語記事の日本語訳など、他の方の解説も見てはいたんですが少し飲み込みにくかったりもしたので。
今回の記事で、ハンターはヒロパを刻むことが大事とは聞いていたんですがそれが体感できた気がします。本題も楽しみにしております。
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とても良い記事でした
ハースストーンと時計になにか関係があるのかと思ったらこういうことだったんですね
明日は時計を回に行こうと思います
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