個人的ハースストーン理論 1

注:この記事は主に初心者に向けたものでありますが、将来的に「競技シーンで活躍したい!」とか「レジェンドTop100を狙いたい!」といった志を持った方に向けたものであり、「ハースストーンを楽しみたい!」という方には不快な思いをさせてしまうので読むことをお勧めしません。また、あくまで個人的な考えであり、絶対の正解ではなく、他のプレイヤーの方とも恐らく違う考えであろうことを注意させて頂きます。

【はじめに】

私の名前はTredsredで、ハースストーンを2014年2月のoβ開始時からやっている古参プレイヤーです。主な実績は『ゲームを始めて1週間でレジェンド』、『Wikiリーグ6月優勝』、『先々月と先月のラダーでTop100フィニッシュ』、『13時間18分で今月のアジア最速レジェンド』などでしょうか。それなりの頻度で大会に出ているので、知ってくださってるプレイヤーも多いと思います。

しかし、昨年の日本選手権にも、今年の冬シーズンの日本選手権にもHCTポイントが足りず、出場することが出来ませんでした。このポイントは『ラダーでTop100フィニッシュ』や『大会での上位入賞』で得ることができ、上位32名が日本選手権に出場することが出来ます。

この原因は「早起きが苦手なため海外大会に一切出場しなかった(アイコンもインプ使いだし)」という取り組み方の甘さも勿論ありますが、基本的には「ラダーでの勝ち方が分かっていなかった」ことだと考えております。しかし、この2ヶ月でかなり『ラダーでの勝ち方』が掴めてきたような気がするので、それを現在製作中の『シークレットパラディンガイド』に書いていたのですが、量が多くなり見難いので別記事として分離させた次第であります。

さてこの記事は『ゲームを始めたての人がレジェンドTop100フィニッシュするまでに知っておいた方がいいこと』のリストアップを目的にしようと思いますが、私自身このゲームを2年もプレイしてしまっているので、本当の初心者の気持ちはもう分からないし、『ラダー→ランク戦のこと』などといった用語解説をいちいちつけるのも面倒なので実際には中級者向けの記事となってしまうと思います。ただ、考え方をメインに紹介していこうと思っているので、各々の現在のレベルに合わせて必要なところを拾い読みして頂ければと思います。それではスタート!

レジェ1

【1.初心者こそ最強デッキを使え】

『ゲームを始めてすぐしなければならないこと』、これは何だと思いますか?Wikiを見てカードを覚える?、Twitchで有名プレイヤーのプレイングを見る?、Twitterで有名プレイヤーをフォローする?

勿論これらは全て強くなるために大事なことですが、そんなことよりも重要なことがあります。それはゲームの購入、つまり課金です。

私の場合、ハースストーンを始めてから2日はアリーナをやりました。そして、「このゲーム面白い!」と思い、2万円ほど課金して、海外サイトからレシピを探してきて当時最強だった『ミッドレンジドルイド』を組みました。……今も最強ですね、自然すごい。そしてそれから5日間、そのデッキを回してレジェンドランクに到達しました。

私がこの時『すぐに課金した』理由は『飽き性なので基本カードに飽きて色々なカードを使いたかった』からなのですが、今思うとこの方法は非常によかったです。

よくゲームを始めたての人に『シークレットパラディンを作りたいんだけど、ドクター・ブーム、ティリオン・フォードリング等のレジェンドカードを持ってないから代わりに何を入れたらいい?』と聞かれることがあります。この質問への私なりの答えは『代わりのカードなどない』です。ドクター・ブームとティリオン・フォードリングの入っていないシークレットパラディンはデッキではなくただの紙束なのです

ハースストーンというゲームは30枚しかデッキがありません。デッキの枚数が少ないということは、1枚のカードの価値がものすごく高いということです。そしてデッキが劣っているということはプレイングも歪ませます。弱いデッキを使っていることで、どんどんゲームが下手になっていきます。

仮にシークレットパラディン(ティリオン・フォードリング有り)vsシークレットパラディン(ティリオン・フォードリング無し)で試合が行われるとします。お互いのプレイヤーのベストプレイはなんでしょうか。

私はハースストーンというゲームで最も重要なことは自分が有利なのか、不利なのかを判断することだと思っています。勝率を上げるためには有利なプレイヤーは出来るだけリスクの低いプレイをして安全に勝ちにいくべきであり、不利なプレイヤーはリスクは高いけれども決まれば大逆転できるようなプレイをして状況をひっくり返すべきなのです。

リスクが高いプレイの例としては『手動操縦のシュレッダーを破壊して、中から出てくるミニオンを見る』ことや『相手がもし聖別などの全体除去を持っていたら負け、と割り切りミニオンを横に全力で並べること』が挙げられます。これらのプレイは勝っているプレイヤーは絶対に行ってはいけないが、負けているプレイヤーは積極的に行うべきプレイなのです。

さて、シークレットパラディンミラーの話に戻りますと、ティリオン・フォードリング有りのプレイヤーとティリオン・フォードリング無しのプレイヤーが対戦する場合、ゲームが始まった時点でティリオン・フォードリングを持っているプレイヤーが有利なのです。ティリオン・フォードリング無しのプレイヤーが勝つには、ゲーム開始時からリスクの高いプレイ、『シュレッダーの破壊』や『ミニオンの全力展開』をしなければなりません。なぜなら『8ターン目になって相手のティリオン・フォードリングが出てきたら負けてしまう』からです。しかし、リスクの高いプレイは期待値の低いプレイです。本来するべきではないプレイなのです。しかし、ティリオン・フォードリングを持っていないプレイヤーにとってはベストプレイです。真面目にプレイしたら40%の勝率を45%にしてくれるプレイです。こっちの方が勝てるし正解かもしれない?と勘違いしていきます。これが弱いデッキを使っていると、どんどん下手になると言った理由です。

初心者向けと言いながら難しい話をしてしまいすみません。私が言いたいことは『ゲームを始めたばかりの人こそ既存の最強デッキを使うべきである』ということです。乏しい知識と乏しいカード資産から産み出された魂のオリジナルデッキは『謎めいた挑戦者』、『ドクター・ブーム』、『ティリオン・フォードリング』の前には残念ながら無力です。

注:シークレットパラディンミラーは実際にはティリオンの有無よりも1ターン目から6ターン目までの動きの強さの方が大きいです。あくまで例です。しかしティリオン有りと無しで1万回やれば絶対にティリオン有りが勝ちます。

さて、ここまでの話を読んで、このページを開いた半分以上の初心者の方が閉じるボタンを押してしまったと自覚しながらも、残ってくださった素質ある方々のために続きを書こうと思います。

「よし、分かった。課金する。じゃあいくら使って、どのカードを作ればいいんだ?」残ってくださった皆さんはこう考えていることでしょう。

作るべきデッキは今の環境では「ミッドレンジドルイド」、「パトロンウォーリア」、「シークレットパラディン」、「ズーウォーロック」の4デッキの中のどれかです。これらは現在Tier 1という評価を受けています。要するに最強デッキということです。TEMPO STORMというサイトで海外のプロゲーマーが今週の最強デッキを発表してくれているので参考にするのがお勧めです。

どれを使うかは各自の好みやカード資産に応じて自由に決めていいです。どれにするか決めて欲しいと言う人は「ミッドレンジドルイド」を使いましょう。理由はデッキランキングで1位だからです。

さて今からは私の使っている『ミッドレンジドルイド』『シークレットパラディン』のレシピを紹介して目安の課金額を計算しようと思います。

『ミッドレンジドルイド』

2 練気:基本
2 生きている根:コモン・TGT
2 自然の怒り:コモン・クラシック
2 野生の繁茂:基本
2 獰猛な咆哮:基本
2 ナクスラーマスの亡霊:ナクスラーマス
1 大物ハンター:エピック・クラシック
2 なぎ払い:基本
2 手動操縦のシュレッダー:コモン・GvG
2 木立の番人:レア・クラシック
2 アジュアドレイク:レア・クラシック
1 ロウゼブ:ナクスラーマス
2 爪のドルイド:コモン・クラシック
2 自然の援軍:エピック・クラシック
1 ソーリサン皇帝:BRM
1 ドクターブーム:レジェンド・GvG
2 知識の古代樹:エピック・クラシック

基本:8枚
コモン:8枚
レア:4枚
エピック:5枚
レジェンド:1枚
アドベンチャー:4枚

必要ダスト:4320ダスト

必要パック数:44パック(1パックから出る平均ダストを98として)

買うべきパック:クラシック40パック

買うべきアドベンチャー:ナクスラーマス(セット)、ブラックロック1wing

必要課金額:10000円程度

デッキガイド

ミッドレンジドルイド.png

『シークレットパラディン』

2 仇討:ナクスラーマス
1 救済:コモン・クラシック
1 競争心:コモン・TGT
2 身代わり:コモン・クラシック
2 秘密の番人:レア・クラシック
2 シールド・ミニロボ:コモン・GvG
2 ナイフジャグラー:レア・クラシック
2 呪われた蜘蛛:ナクスラーマス
1 コグハンマー:エピック・GvG
2 兵役招集:レア・GvG
1 トゥルーシルバー・チャンピオン:基本
1 王の祝福:基本
1 聖別:基本
2 ウルダマンの番人:LoE
2 手動操縦のシュレッダー:コモン・GvG
2 ヘドロゲッパー:ナクスラーマス
2 謎めいた挑戦者:エピック・TGT
1 ドクター・ブーム:レジェンド・GvG
1 ティリオン・フォードリング:レジェンド・クラシック

基本:3枚
コモン:8枚
レア:6枚
エピック:3枚
レジェンド:2枚
アドベンチャー:8枚

必要ダスト:5320ダスト

必要パック数:54パック

買うべきパック:GvGでも構わないがスタン落ち(後述)のため、クラシックを60パック

買うべきアドベンチャー:ナクスラーマス(セット)、エクスプローラー1~2wing

必要課金額:12000円程度

デッキガイド

シークレットパラディン

ご覧のように、もしパックから出てきたカードを必要なカード以外全てダストにした場合1万円程度で最強デッキが組めることが分かります。これを高いと見るか安いと見るかは人によって異なるでしょうが、他のカードゲームでは1枚で1万円するカードなどもざらにあります。もし真面目にハースストーンをプレイするのならば、1万円課金してみるといいと思います。世界が変わります。

ただし、はとても微妙な時期であり、近日中に大規模な環境変更があることが予告されてます。もし学生等でゲームにかけられるお金が少なく、1万円が無駄になるのは困るという人は1ヶ月~2ヶ月待つことを強くおすすめします。

【2.メタは読むな、メタの方から合わせろ】

人によって考え方の違うポイントであることは重々承知しております。ですがハースストーンのラダーにおいてメタを読む必要は全くないと自分は考えています。

『メタを読む』行動の例としては「今はドルイドが多い時期だから、ドルイドに有利なテンポメイジを使おう」とか、「今はウォーリアが増えてきたから、デッキにハリソン・ジョーンズを入れよう」とかそういった行動のことです。皆さんもやったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。私も昔はそうでした。

でも待ってください。ちょっとおかしくないですか?誰があなたに今はドルイドが多いって教えてくれたんですか?Blizzardのデータベースでもハッキングしたんですか?

大抵、その『今はドルイドが多い時期』という情報は、『自分がさっき8戦やってドルイドと4回当たった』とかその程度のことが根拠ですよね?ラダーにドルイドが10%しかいなくても、8戦やってドルイドと4回当たることなんて普通に起こります。

大会で相手のヒーローが決まっている場合、大会で有名プレイヤーや配信者と当たる場合、『あいつはドルイドを使ってくるだろうからテンポメイジを使おう』と考え、ヒーローを選択するのは正しいメタ読みです。でも不特定多数と対戦しなければならないラダーでメタが読めるわけないでしょう。あなたは神様ですか?

じゃあどうするか、メタの方から合わせればいいんです。自分がわざわざ最強デッキであるドルイドを使うのをやめて、弱いデッキを使わなくても、ずぅーっとドルイドを回していれば、いつかメタの方から自分に合ってきます。周りが勝手にメタを読むからです。あるドルイド使いがいたとして、ズーに3連敗したとします。きっとその人は今はズーが多い時期だから、フリーズメイジやプリーストを使おうなどと勘違いしてデッキを変更します。しかも、ろくに使ってもいないデッキを使っている彼らのプレイングはがばがばです。そのタイミングでずぅーっとドルイドを回している自分は理想の状態でフリーズメイジやプリーストを狩ることが出来ます。メタは回るのです。

これは今回最速レジェンドを目指した時のデータです。8連敗

 

最終的にパラディンでの勝率は70%を超えたのですが、なんとランク14で8連敗してランク15に落とされます。しかし、ひたすらパラディンを回します。これがTier 1だから。

14勝1敗

するとこうなりました。果的に8連敗からの20勝1敗を記録しました。合わせると20勝9敗。勝率69%ですね。いつも通りです。数をこなせば確率は収束します。大切なのはデッキを変えることではなく、全ての試合でベストを尽くすこと、ミスをしないことです。ノーミスで負けた8連敗は後の20勝を呼び寄せます。

【3.スナイプはしろ。スナイプをされるな】

先ほど『メタを読むな』と言いましたが、唯一読めるメタがあります。それは連戦です。ラダーでは不特定多数の相手と戦いますが、試合終了直後にもう一度マッチング開始を押した場合、同じ相手とマッチングすることはよく起こります。ランクもタイミングも近いので当然ですよね。これは高ランクになればなるほど、プレイヤー数が減るため、よく起こります。

この時、もし自分も相手も同じデッキを使っていた場合、前の試合で勝った方が、今の試合で勝つ可能性が高いですよね?ということは『試合に勝った場合はすぐに試合開始を押し、試合に負けた場合は5分休憩をしてから試合開始を押す』というルールを自分で作って守れば、勝率が上がるのではないでしょうか?ちょっとずるい方法ですが合法です。お試しあれ。

(疲れたので続きは今度書きます。ゲーム中に考えることとか書きたいです。つづく)

個人的ハースストーン理論 1」への10件のフィードバック

  1. とても共感できる記事でした。かつてリアルTCGを嗜んでいた身ですが、大会で結果を出すために1枚数千円のカードのガン積みを必要とする時期もありました。それと比べるとHSはかなり金銭的に優しいゲームなので、最近始めた友達にも1万円ほどの初期投資をお勧めしています。

    いいね: 1人

  2. 次の連載がとても楽しみです.ここで書かれる戦略(メタ読みなど)はランク帯とレジェ帯で基本的に変わらないとおもっていいでしょうか?

    いいね

    1. コメントありがとうございます。はい。全ランクにおいて他人が何を使うかなどは、その人の気分だと思っています。スナイプ云々に限り高ランクの話ですね。

      いいね

  3. 1はともかく、2,3はとても共感できる話ですね。
    3ですが
    私はカジュアル中心にやってますが、夜中とかだと同じ人と当たりやすいですね。
    それに、負けたときは頭が熱くなってるから5分インターバルあけることで冷やす意味もありそうですね。

    いいね

  4. とても面白かったミッドレンジドルイドのプレイングガイドの人と同じかな?と思って過去記事みたらやっぱり同じ人だった。
    1に関しては色々意見出そうですが、今回もとにかく分かりやすくて面白かったです。

    いいね: 1人

  5. 自分は1にもとても共感できました
    「初心者の僕でもレジェのカードパワーに勝ってやるぞ!
    数万人数十万人の集合知がなんだ!僕は一人でも構築してみせるぞ!」という心がけは
    いささか現実が見えていないように思えます。
    自分がプレイング力100%の人間になると信じて、デッキビルド力100%の人達の力を借りる
    その上で集合知には逆らわず初期投資もする。これが一番効率のいいPS磨きでありレジェになるまでのラダーだと思います。
    ただ、やはりそれを実行するのは新フォーマットが実装されて環境も少し落ち着いた頃の方がいいでしょうね。
    でもあくまで時期の話であって話の本質はこの記事に集約されていると感じました。

    いいね

コメントを残す